月に叢雲花に嵐

1日1枚フォトダイアリー

レトロスペクティブ

実は昨日の写真で京都は終わりにしようと思っていたのだが、

街中の写真を出していなかったので、

もう一日継続することとする。

 

南禅寺山門を通り蹴上に向かおうと思ったのだが、

道を間違えて賀茂川まで歩いてしまった。

途中で白川がキラキラ流れていたので

今度こそ絞りを開けてソフトフィルターで撮る。

20231104095746

OLYMPUS OM-D E-M5 MarkII + LUMIX G 20/F1.7 II SS1/6400 F1.7 ISO200

 

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。

世中にある人と栖と、又かくのごとし。

たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、

高き卑しき人のすまひは、世々を経て尽きせぬ物なれど、

是をまことかと尋 ぬれば、昔しありし家はまれなり。

或は去年焼けて今年作れり。

或は大家滅びて小家となる。

住む人も是に同じ。

所もかはらず、人も多かれど、

古見し人は二三十人が中に、わづかに 一人二人なり。

朝に死に、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。

不知、生れ死ぬる人、 いづかたより来りて、いづかたへか去る。

又不知、仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。

その主とすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。

方丈記鴨長明

 

兼好法師が鎌倉末、室町初期の人だったのに対して、

鴨長明は鎌倉初期の人で俊成のライバルだった俊恵の弟子にあたる。

京都も駅前は高層ビルが建っているが、

やはり東京と比べて空が広い。

棟を並べ、甍を争へる…立派な建物を建て高さを自慢する愚かさを、

1000年前に悟っていたからかもしれない。

 

哲学の道のスタート地点の銀閣寺のあたりから、

大文字山に登れるようだが、

この山は花崗岩でできていて、

その砕かれた白い砂が疎水や水路に流れ込んで、

水のきれいさに一役買っている。

白川の名前の由来でもある。

 

この山には薫青石ホルンフェルス…いわゆる桜石が産するそうだ。

亀岡の桜石は天然記念物として有名だが、

それほど立派なものは出ないようだが、

機会があれば観察してみたい。

今回は哲学の道を歩くだけになってしまったが。