月に叢雲花に嵐

1日1枚フォトダイアリー

ガクアジサイのクローズアップ

「人間は狂った猿である」

そう言ったのは岸田秀である。

もっとマイルドに「人間は本能の壊れた動物である」と言う場合もある。

 

狂った猿は他の猿に対し不足があった(もっぱら他の動物と比べて子育てに異様に時間がかかることに起因する)がゆえにそれを補うべく幻想を生み出した。

文明にせよ宗教にせよ言語にせよ歴史にせよ幻想の産物にすぎない。

 

例えばイヌと言う生き物がイヌである根拠は何一つなく、

日本と言う国の言語においてイヌがイヌであると言う認識が共有されているからこそ

その共有されている集団の中ではイヌとして通じるのである。

その認識共同体の外では…例えばアメリカではこの生物はdogと呼ばれている。

イヌとdog…どちらが正しいのか…しいていうとわんこかな…

わんわんなくし…しかしアメリカ人にはbowwowと聞こえるようである。

また、特定の世界では警察のことをイヌ呼ばわりすることがあるが

よりローカルな共同体で共有されている言語であるとえる。

このように言葉は特に根拠のない幻想にすぎず、

言葉のように共有された幻想のことを共同幻想と呼んでいる。

 

この主張は1975年にユリイカと言う雑誌に連載され

その後、ものぐさ精神分析と言う名前で書籍化され

彼の主張は唯幻論と呼ばれた。

 

この本が今年になって増補新版になって再出版されたようだ。

www.chuko.co.jp

 

さてこの書籍…もしあなたが学生であり、

特に悩みがないのなら…

全力で回避した方がいい危険な書籍である。

また、人には言えない悩みを抱えていたら

この本を読めば心が軽くなるかもしれない。

 

彼は実のところ心理学者の皮をかぶった構造主義者なので、

構造主義…そしてフロイトの理論を一通り理解しておくと話が早いのだが

まぁ文章は学者が書いたものとは思えないほどわかりやすい。

むしろ、なわけねーだろと言う抵抗の方が大きいだろう。

いや狂った猿じゃねーし?進化の極限に位置する万物の霊長様やで?

 

人間は猿に対して文明を獲得した。

文明を獲得した結果、失ったものがあるとすると何だろう。

人間は文明を獲得したからこそ

文明を進化させなくてはならなくなった。

これは心の安定を保つために進化させ続けなくてはならない呪いでもあった。

紙とペンはパソコンになり、やがてスマートフォンになったが

我々は進化の分幸福になったのだろうか。

 

さて今日の写真

20240531221752

OLYMPUS OM-D E-M5 MarkII + M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro SS1/125 F3.5 ISO200

 

ガクアジサイは紫陽花の原種であり

万葉の昔から歌に歌われてきた。

 

安治佐為能 夜敝佐久其等久 夜都与尓乎 伊麻世和我勢故 美都々思努波牟

あじさいの やえさくごとく やつよにを いませわがせこ みつつしのはぬ)

 

紫陽花の八重に咲く花のように

八千代に生きてください愛しい人よ

わたしは紫陽花の花を見ながら偲びましょう

 

詠んだのは左大臣橘宿儺諸兄である。

だが待って欲しい。

わがせこは女性から見た恋人ではなかったろうか?

 

忌中につき撮影に遠出する気にもなれずろくに写真も撮っていないので

5月のはてなフォトライフの使用容量は70%いかなかった。

孔子は3年喪に服せと言う。

これは親は子を産むと3年はかかりきりになるので

子も親が亡くなると3年喪に服すべきと言うのであるが、

当時の喪に服すと言うのは役人や政治家であってもそれを辞めて服したそうな。

今の世の中ではとても無理な話だ。

猿は生後1週間で自力で歩くと言うが、喪に服す期間も1週間でよいのだろうか。

 

今日の音楽

youtu.be

小生の今日の音楽は洋楽が多いのだが、

ユーチューブは設定で字幕を出せる場合がある。

字幕の項目があればまず英語に指定した後で

もう一度字幕をクリックすると自動翻訳と言う項目が現れるので

ここで日本語を指定してやると日本語の字幕が表示される。

まだまだ翻訳の精度は甘いがこれはよい進化と言えるかもしれない。

 

なおバリウムは健康診断で飲むアレ(Barium)ではなく

精神安定剤ジアゼパム(Valium)のことである。