月に叢雲花に嵐

1日1枚フォトダイアリー

苔の生すまで

昨日1画1画丁寧に書くことこそが

美しい文字を書く極意だと書いたが

おそらく写真を撮ることも同じであろう。

 

主題を選び、構図や露出、ピントの位置やボケを考えながらシャッターを切る。

しかし、書道におけるペンに相当するであろう

写真におけるカメラは、

丁寧によりも下手な鉄砲数うちゃあたるの方向に進化していった。

結果、カメラ任せでシャッターを切り、日々駄作を量産することになった。

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OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-14 SS1/160 F6.3 ISO200

 

弘法は筆を選ばずと言うが、

本当に字がうまい人はどんなペンでも美しい字を書けるように、

本当に写真がうまい人はどんなカメラを使おうとうまい写真を撮る。

事実、かつて多くの写真家たちはフィルムカメラでその作品を撮ってきた。

また、日本においてはたいして字がうまくもない文具系ユーチューバーが

したり顔で文房具の解説をしているが

これはカメラも同様ではっきり言って笑止ですらある。

 

もちろん、書家の方が動画を公開されたりもしている。

youtu.be

しかし彼らが使うのはやはり筆である。

一般人にとっては

筆で文字を書くのは、フィルムカメラで写真を撮る以上に敷居が高い。

筆は美工筆とは比較にならないほど多彩な線をかけるが

その書き分けはペン先のコントロールと力の入れ具合により

かなりの習熟が必要である。

 

書家の動画で筆がつかわれるのは、表現に向いているからだろう。

最近は筆ペンもなかなか良いが

こと材質や形状の多様性と言う点で、筆には及ばない。

しかし、古いものは多くの人に使われなくなると

淘汰されていってしまうのも現実である。

フィルムカメラのフィルムの選択肢が狭まっていったように。

 

一ユーザーとしては気に入ったものを苔の生すまで使い続けたいのであるが。